今帰仁方言音声データベース

『沖縄今帰仁方言辞典』の録音作業について

1983年に『沖縄今帰仁方言辞典』が出版された後,1988年から文部省の科学研究費による重点領域研究『日本語音声』(研究代表者:杉藤美代子)の琉球列島班(研究課題「琉球列島における音声の収集と研究」代表上村幸雄当時琉球大学教授)では音声そのものの記録保存を行いました。『奄美方言分類辞典』の音声化,『石垣方言辞典[仮称]』(宮城信勇)の音声化などとともに,『沖縄今帰仁方言辞典』の音声化も行われました。本データーベースは,このときの録音資料を利用しています。

『沖縄今帰仁方言辞典』には約1万5千語の項目があります。その項目とそこに出てくる用例の音声を録音しました。ただし,見出し語のうち,独立した単語としては使われず,単語の構成要素となる接尾辞,接頭辞などの単語の要素としてのみ使われ,単独では発音されないものは録音していないものがあります。

音声化の作業は,当時著者の仲宗根政善先生の健康が優れず,しかも辞典の項目が膨大であるため,残念ながら当初予定していた著者の発音は録音できませんでした。そこで,著者と同郷の幼いころからの親友で,同級生のお二人を発音者として全面的な協力を得て行いました。仲里源盛さん(1908年1月生)と山内光子さん(1908年2月生)のお二人です。

辞典の見出しの項目と用例を,まず男性が発音し,続いて女性が発音しました。録音は1988年から1991年8月までの3年間,著者の仲宗根先生のお宅で行われました。すべての録音と編集作業は,同じく今帰仁出身の島袋幸子が担当しています。個人宅での録音のため,鳥の声や雨の音,飛行機の爆音,家人の家事の音など,雑多な音が入っています。録音に際しては,アナログテープに比べて音声の劣化がはるかに少ないDAT(Digital Audio Tape)を使いました。

話者紹介

仲里源盛

仲里源盛氏:1908年2月今帰仁村字与那嶺に生まれる(1993年2月逝去)。仲宗根政善先生とは幼なじみの同級生ですが,仲宗根政善先生の妹サヱ子さんのご主人でもあります。晩年は生まれ故郷を離れたところで生活されましたが,今帰仁のことはいつも気にかけていらっしゃいました。今帰仁方言辞典の音声の録音についても快く引き受けてくださいました。植物に詳しく,今帰仁方言辞典の植物名の記述に関してもご指摘をなされたようです。

山内光子

山内光子氏:1908年1月今帰仁村字与那嶺に生まれる。仲宗根政善先生,仲里源盛さんとは同級生ではありますが,時代的に幼少時に一緒に遊ぶということはなく,仲宗根政善先生の妹のサヱ子さん,後に仲宗根政善先生の妻になる敏代さんなどとの交友が深かったようです。先祖が屋取り(元士族だった人たちが地方の村に住むようになった)であったらしく,時として,アクセントなど発音にもその影響は表れることがありました。生まれ育った今帰仁を離れての生活は長かったのですが,今帰仁出身の人々との交流も絶えずあったようです。今でも小説をお読みになる,文学や旅行がお好きな魅力あるおばあちゃんです。

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